暮田留依さん

MEPLO 卒業生インタビュー Vol.2
東京大学大学院 情報理工学系研究科 数理情報学専攻修士課程2年

卒業生インタビュー、今回は数学のフォロースタッフとして数々の生徒の指導をされた暮田留依さんにお話しを伺いました。

現在、どのような研究をされているのでしょうか?

現在、私は数理情報学専攻という名前の専攻に所属しています。扱っている学問分野は「数理工学」と呼ばれる、工学の問題を解決するための数学的手法を扱う分野です。工学の問題における方法論を研究対象としているため、個別のテーマを挙げようとすると限りがないのですが、「情報」という語が示している様に、例えば現象や問題の本質を「上手く」モデル化した上で、問題をコンピュータ上でどう計算・処理するか、という点が課題になります。私自身の現在の研究テーマは「数理計画法」と呼ばれる、数理モデルにおける「最適解」を求めるための方法論をベースに、主に構造物の最適設計法といった構造力学分野での応用について扱っています。ここでいう数理モデルとは、

  • 目的関数: 最適化(最大化 or 最小化)したい対象を数式で表現した関数
  • 制約条件: 問題の(例えば等式・不等式の形で表現された)制約

を合わせたものをいいます。数理計画法の方法論そのものは、構造力学分野に限らず、生産計画・金融・スケジューリング等、社会における多くの場面で用いられています。

現在の進路や研究テーマを選んだきっかけを教えてください。

もともと理系を志望したのは単純に数学が好きで得意だった、というのが大きいです。高校のある時期までは経済学に興味を持っていたのですが、東大なら進振りで進学先の自由度があったので、結局理転し理科一類を受験、合格しました。そして大学入学後、たまたま五月祭で計数工学科の展示を見たことで、数学をツールとして使いつつ、工学で現れる現実の問題を解決していく、というアプローチがあることを知りました。それ以来、計数工学科を進学先の候補として考える様になり3年次に進学しました。また細かな動機としては、理学部数学科(3年以降も駒場キャンパス)と異なり本郷キャンパスで数学が出来る、という点もあります。

もう一点、私は鉄道に興味があるのですが、最近テレビ番組でもやっていた「日本のJR線を一筆書きでどれだけ長く乗れるか」という、「最長片道きっぷ」の経路を求める問題を中学か高校の時に偶然知る機会がありました。実はこのテーマに取り組んでいたのは当時の数理情報学専攻の大学院生でした。この問題で使われていた手法は(知った当初はきちんと理解していなかったのですが)数理計画法における手法の一種でした。そんなきっかけもあり、大学院進学時には数理計画法を扱える研究(室)を志望しました。

今後の目標を教えてください。

今までの自分の専門を生かした形で働ければ、と考えていますが現在は模索中です。

MEPLOではどのような生徒でしたか?
またMEPLOで学んだことで今の自分に影響していることはありますか?

通っていた中学・高校の三理想の一つとして「自ら調べ自ら考える力ある人物」という項目が挙げられていたこともあり「調べること」「自分の頭を使うこと」を意識していました。MEPLOの教材はレベルが高く、予習は大変でしたが、限界まで自分の力で考えてみる、ということを可能な限り心がけていました。今の研究においても「自分の頭を使う」という姿勢が大事な様に思います(当たり前といえば当たり前のことなのですが)。輪講等での発表前、あるいは論文を読み込むときなど、継続的にやっていると体力的には大変な場面も多いですが、上手く乗り越えられたときには達成感も大きいです。

[プロフィール]

2006年3月 私立武蔵高等学校 卒業
2006年4月 東京大学 理科一類 入学
2008年4月 東京大学 工学部 計数工学科 数理情報工学コース 進学
2010年4月 東京大学大学院 情報理工学系研究科 数理情報学専攻 修士課程 入学

2006年5月~ MEPLOフォロースタッフとして主に数学のフォローゼミ・添削を担当

(2011/10/01 プロフィールを一部訂正)

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