Archive for 9月, 2011

暮田留依さん

日曜日, 9月 25th, 2011

MEPLO 卒業生インタビュー Vol.2
東京大学大学院 情報理工学系研究科 数理情報学専攻修士課程2年

卒業生インタビュー、今回は数学のフォロースタッフとして数々の生徒の指導をされた暮田留依さんにお話しを伺いました。

現在、どのような研究をされているのでしょうか?

現在、私は数理情報学専攻という名前の専攻に所属しています。扱っている学問分野は「数理工学」と呼ばれる、工学の問題を解決するための数学的手法を扱う分野です。工学の問題における方法論を研究対象としているため、個別のテーマを挙げようとすると限りがないのですが、「情報」という語が示している様に、例えば現象や問題の本質を「上手く」モデル化した上で、問題をコンピュータ上でどう計算・処理するか、という点が課題になります。私自身の現在の研究テーマは「数理計画法」と呼ばれる、数理モデルにおける「最適解」を求めるための方法論をベースに、主に構造物の最適設計法といった構造力学分野での応用について扱っています。ここでいう数理モデルとは、

  • 目的関数: 最適化(最大化 or 最小化)したい対象を数式で表現した関数
  • 制約条件: 問題の(例えば等式・不等式の形で表現された)制約

を合わせたものをいいます。数理計画法の方法論そのものは、構造力学分野に限らず、生産計画・金融・スケジューリング等、社会における多くの場面で用いられています。

現在の進路や研究テーマを選んだきっかけを教えてください。

もともと理系を志望したのは単純に数学が好きで得意だった、というのが大きいです。高校のある時期までは経済学に興味を持っていたのですが、東大なら進振りで進学先の自由度があったので、結局理転し理科一類を受験、合格しました。そして大学入学後、たまたま五月祭で計数工学科の展示を見たことで、数学をツールとして使いつつ、工学で現れる現実の問題を解決していく、というアプローチがあることを知りました。それ以来、計数工学科を進学先の候補として考える様になり3年次に進学しました。また細かな動機としては、理学部数学科(3年以降も駒場キャンパス)と異なり本郷キャンパスで数学が出来る、という点もあります。

もう一点、私は鉄道に興味があるのですが、最近テレビ番組でもやっていた「日本のJR線を一筆書きでどれだけ長く乗れるか」という、「最長片道きっぷ」の経路を求める問題を中学か高校の時に偶然知る機会がありました。実はこのテーマに取り組んでいたのは当時の数理情報学専攻の大学院生でした。この問題で使われていた手法は(知った当初はきちんと理解していなかったのですが)数理計画法における手法の一種でした。そんなきっかけもあり、大学院進学時には数理計画法を扱える研究(室)を志望しました。

今後の目標を教えてください。

今までの自分の専門を生かした形で働ければ、と考えていますが現在は模索中です。

MEPLOではどのような生徒でしたか?
またMEPLOで学んだことで今の自分に影響していることはありますか?

通っていた中学・高校の三理想の一つとして「自ら調べ自ら考える力ある人物」という項目が挙げられていたこともあり「調べること」「自分の頭を使うこと」を意識していました。MEPLOの教材はレベルが高く、予習は大変でしたが、限界まで自分の力で考えてみる、ということを可能な限り心がけていました。今の研究においても「自分の頭を使う」という姿勢が大事な様に思います(当たり前といえば当たり前のことなのですが)。輪講等での発表前、あるいは論文を読み込むときなど、継続的にやっていると体力的には大変な場面も多いですが、上手く乗り越えられたときには達成感も大きいです。

[プロフィール]

2006年3月 私立武蔵高等学校 卒業
2006年4月 東京大学 理科一類 入学
2008年4月 東京大学 工学部 計数工学科 数理情報工学コース 進学
2010年4月 東京大学大学院 情報理工学系研究科 数理情報学専攻 修士課程 入学

2006年5月~ MEPLOフォロースタッフとして主に数学のフォローゼミ・添削を担当

(2011/10/01 プロフィールを一部訂正)

中村裕之さん

土曜日, 9月 10th, 2011

MEPLO 卒業生インタビュー Vol.1
丸紅株式会社勤務

本日より、当サイトでは、MEPLO卒業生へのインタビューを順次掲載していきます。第1回目は4月29日の交流会でも卒業生代表としてご挨拶いただいた中村裕之さんに現在の仕事や大学時代のお話を伺いました。

現在、どのようなお仕事をされているのでしょうか?

私は現在とある総合商社に勤務しています。総合商社ではいろいろな商売を扱っていますが、私は石炭部プロジェクト課という部署に所属しています。この課では世界各地にある石炭資産(いわゆる炭鉱)への投資及び投資した炭鉱の操業管理を行っています。石炭は一昔前のエネルギーだとか地球温暖化の敵というイメージが強いかもしれませんが、人類が生きて行く上で必要不可欠な鉄の原料であるため、日本はもちろんのことながら現在中国やインドを始めとした新興国で大きな需要があります。昨今の資源ブームの中で石炭は各総合商社の稼ぎ頭となっており、私の管理している炭鉱も学生時代では想像もしていなかったような利益を生み出しており、非常に責任の重い仕事だと思っています。

仕事のどのような部分にやりがいを感じますか?

やはり規模という面は一つの魅力だと思いますが、何より、自分が投資や開発・運営に関わった石炭が消費者の元に届き、それが形を変えて私の目に見えるものになるため、自分も社会の一部を担っているのだなと感じやりがいを感じます。

逆に何か辛いことなどはありますか?

先ほども述べましたが、とても額が大きいので特に操業管理における計数処理などは辛い、というかとても緊張します。ちょっとした計算ミスが数億円の違いになることがざらにあり(そういうのに慣れて来てしまっている感もありますが 笑)、落ち着いて考えるとぞっとしますね。

MEPLOで学んだことで、大学時代に役に立ったことがあれば教えてください。

学業という面ではありきたりかもしれませんが、高校時代に受験にとらわれない授業(特に高1・2)を受けたことにより、大学でも試験勉強だけでなく、自分で不思議な点を見つけたり、このロジックはなぜだと思えたりしたことは良かったと思います。

MEPLOで学んだことで、仕事で役に立っていることがあれば教えてください。

役に立っているというより、今の仕事を選んだのはMEPLOで学んだからかもしれません。MEPLOで型にはまらない自由な発想が出来る能力を得られたからこそ、「理系院生⇒推薦で研究職」という道ではなく「文系職である商社」に勤めることになったのかもしれません(もちろん理系から研究職という道も素晴らしいと思いますし、自分も検討しました。研究の道に進む方がいるからこそ社会が成り立つと思っています)。

MEPLO時代にもっとこうしておけばよかったな、と思うことがあれば教えてください。

MEPLOでは生徒として過ごした6年間、フォロースタッフとして勤務した6年間の両方があるのですが、まず生徒の時で言えば、もっと先生方と学問について話し合えば良かったなと思いますね(優等生的回答で恐縮ですが)。

社会に出てから思うのはものごとを知るというのはとても面白いということで、これはたぶん学生時代に感じられている人は少ないのではないかと思います。そういった意味で様々な(多彩な、独特な)知識・経験を持っている先生方ともっといろいろ話をしておけば良かったなと思いますね。フォローの時は、うーん、結構やりたいことやらせてもらっていましたからね(笑)。自分がこういう講座をやってみたいですと言えば、まずはやってみようということだったので色々やらせてもらいました。

MEPLOで大学の選択に影響したことがあれば教えてください。

あまり成績が伸びなかったときでも「東大をめざせ」と言ってもらったのは結構助かりましたね。教務のNさんとフォローのNさんに言われたことは今でも覚えています。

大学時代の専攻を決めたきっかけは何でしたか?

大学入学時は薬学部に、進振りのときは都市開発系か心理学系に行きたかったのですが、結局はマテリアル工学といういわば理系の何でも屋というところに行きました。ある意味大学の選択とも似ていますが、ここならばその後の研究テーマが多岐に渡っており、バイオ系、IT系、デバイス系など色々な勉強が出来そうだったのが魅力でしたね。そこで私は環境マネジメント工学という学問を学ぶことにしました。これは当時の流行であったこともありますが、大嫌いな実験がなかったのも大きいですね(笑)。

 大学に入る前はどのような仕事、職業に就きたいと考えていましたか?

前述の通り、入学時は薬学部に行って、いわゆる薬の研究をしたいなと思っていましたが、大学に入ってから始めた部活(ラクロス部)の影響で部活と学業の両方を続けるために薬学部はあきらめました。そもそも薬学部に行くだけの点数はとっていませんでしたが(笑)。

その志望は大学に入ってから変わりましたか?

東大では様々なことを学べたので様々な学部が候補に挙がりました。経済学などにも興味ありましたね。理系で入ったからには理系の学部に行かなくてはという考えはなかったです。

大学で学んだことで大切なこと、現在の仕事に生きていることがあれば教えてください

学問の話でなくて恐縮ですが、やはり部活での経験は仕事に生きていると思います。あとはやはりExcelですかね(笑)。同期の中でもExcelは相当出来る方だと思います。

大学で力を入れたことがあれば教えてください。

部活に入っていたラクロスですね。週5~6はやっていました。信じられないかもしれませんが、東大はとても強く関東ベスト4は常連、目標は日本一でやっていました。卒業してからも院の2年間はコーチをしていたので大学時代の9割くらいはラクロスと言っても過言じゃないですね(笑)。ちなみに今でもクラブチームで続けています。

 大学時代にもっとこうしておけばよかったな、と思うことがあれば教えてください。

もっといろいろ行動しておけばよかったなと思いますね。旅行したり、様々な種類のバイトをしたり、資格を取ったりなどなど。社会人になってから出来ないことはたくさんあるので殻にこもらないで出来るうちにやっておくのが良いと思います。ちなみに社会人になってから酒の席はいくらでもあるので、そこは頑張らなくてもいいと思いますね(笑)。

最後にいま頑張っているMEPLO生にメッセージをお願いします。

多くの人が言いますが、MEPLOはただの塾ではなくなにか特別なものです。家族というと言い過ぎですが、2つめの高校のようなもので、そこでのつながりは本当に将来ひとつの財産になると思います。ちなみに本当に偶然ですが、このインタビューの翌日にMEPLO時代の友人と同窓会があります。つながりを大事にしてこれからもがんばってください。

[プロフィール]

2004年 開成高校卒、東京大学理科二類へ入学
2006年 東京大学工学部マテリアル工学科バイオマテリアルコースへ進学
2008年 東京大学大学院工学系研究科マテリアル工学専攻(環境マネジメント工学)へ入学
2010年 丸紅株式会社へ入社(金属部門石炭部プロジェクト課に配属)